無住心剣の研究blog (無想剣武術会 藤沢市支部)

針ヶ谷夕雲先生、小手切一雲先生らが残された「無住心剣/夕雲流」の事を掲載していきます。実際に稽古に参加をされたい方は、東京都、神奈川県で稽古を受け付けております。

極楽と地獄3(無住心剣を知るために)

なにやら極楽は大変良いところだと聞きます。

なぜ?

誰ひとりとして帰って来た者がいないから。 

そう考えると、地獄も案外住めば都なのかもしれません。 

 

 

しかし極楽や地獄とは場所の事ではありません。

雲の上が極楽、地面の下が地獄。

もし本当にそうならば、宇宙飛行や人工衛星で極楽は見えるでしょう。

地面の下に地獄があるならば、

東京23区はあちらこちらが地獄に通じていることになります。 

  

極楽も地獄も全ては想い。

別の言い方をすれば、

「生き方。」  

    

こんなお話をしましょう。

 

コップがあります。

このコップには美味しいジュースが半分入っています。 

   

極楽の人は

「やった! ジュースが半分も入っている。」 

  

地獄の人は

「なんだー。 半分しか入っていない。」 

 

極楽の人は感謝があります。

地獄の人は不満があります。 

 

さてこれを無想剣に当てはめて考えてみると

刹那の瞬間に現れる心は極楽でしょうか?

地獄でしょうか? 

   

    

そうですね。

私はまだ地獄よりです。 

この地獄からの脱却。

これが真の無想剣と言えます。   

 

 

極楽と地獄2(無住心剣を知るために)

極楽を知ることが、

無住心剣を理解する近道となります。

しかし、極楽へは死ななければ行くことが出来ません。

死ねば剣術どころではありませんし、

死ななければ極楽には行けない。

ではどうすれば良いでしょうか?

 

今回のお話です。

    

宗教家で研究者にX氏がいました。

X氏は研究の結果1つの悟りを得て、

以下の様な結論を出しました 。

    

「人は死んだら骨だけ。

人は死んだら ただのカルシウム。」

    

この文には続きもあり      

「学を修めようと、高い社会的地位にあっても、

莫大な財産を得ようとも 死ねば何もかも失う。

だから欲に囚われずに、悟りを得られるように日々精進をしなさい。

人が死んでも極楽浄土なんて行けない。

そんな場所は無いんだ。

嘘の教えが極楽浄土を作り、

そこに地位や財産を持って行けるかのような事を

説く者もいる。 そんなことない。

人は死んだら骨だけしか残らない、

人は死んだら ただのカルシウムだ。」
  
  
さてX氏に不幸が訪れます。
最愛の、自分の命よりも大切な愛娘が不治の病に倒れました。 
病名病状は末期ガンでした。
  
 
そして、臨終の間際。
娘「パパ・・・人は死んだら・・・・・どうなるの?・・・・」
X氏「・・・・・・・」

 
X氏は常日ごろから、極楽浄土なんて無い。
人は死んだら ただのカルシウム。
それを真理と語っていました。  
   
X氏は考えました。その間はほんの数秒だったでしょう。
しかし一生分に等しい時間を考えました。
人は死んだらカルシウム・・・・・・・・・
研究者としての信念を曲げられません。
いくら考えても調べても、それ以外の答えが無いのですから。    
そしてX氏はお嬢さんに答えました。
 
「人はなぁ、  
死んだら良いところ(極楽浄土)に行けるんだ。」  

 
   
「あ・りが・・とう ・・・パパ・・・・・・
私・・ 先に行って・・・パパを・・待っているから・・・・」
そう答えたのちに、安らかに旅立って行かれたそうです。   
              
これ以降、X氏は 二度と
「人は死んだら ただのカルシウム」
とは口にしなかった
 そうです。

      

悲しいお話ですね。

   

X氏の

「人は死んだら良いところに行ける」

これは嘘でしょうが、その嘘とは

義や信(まこと)で出来ています

また、この嘘によって

お嬢さんは、

極楽に行くことが出来ています。

 

つまり嘘の中に極楽がありました。

  

そして お嬢さんからの感謝。

この感謝の言葉で、

X氏もまた生きたまま極楽に行くことが出来ました。

人は自分が体験したことまで

否定をしません。

 

疑いはあっても否定は出来ないのです。

X氏は、感謝の言葉によって

確かに極楽に導かれました

   

そして真実である

「人は死んだらカルシウム」

にこそ地獄があることに

気が付かれたのだと思います。

  

時に、真実にこそ地獄があり

嘘から出た真実(まこと)のように

嘘の中に極楽があることも

仏さまが説かれております。

     

無想剣とは、仏の心。

このお話を、理解されたときに

無想剣を知ることが出来ます。

 

 

極楽と地獄1(無住心剣を知るために)

極楽と地獄1

 

地獄なんてあるの?

極楽??

空想の世界ですね。

  

今回は極楽と地獄について

説明をします。

   

その前に戦争体験をされた方のお話。

Aさんは海軍の少年兵でした。

いわゆる軍艦の搭乗員です。

軍艦ですので、空襲や魚雷などで

攻撃を受ける事も当然あります。

  

これにより多くの仲間が死傷しました。

同時に、日本国側の攻撃で敵兵の多くも

死傷しました。

  

地獄とは、この光景もあるのでしょうが

“地獄の底”とは

「敵を、ぶっ殺してやる。」

と言う心の状態を指します。

 

この心の中に地獄と言う世界が

広がっています。

 

その後日本は戦争に負け、軍備は解体されました。

次にAさんが任に着いたのは、

「日本国外にいる日本兵の回収作業。」

軍備を外された軍艦を輸送船として

再び動かすことになりました。

  

フィリピンに寄港した時。

フィリピンに残された日本兵たちは

国旗日の丸を掲げた軍艦を見て、

全員が涙を流したそうです。

その涙を見たAさんもまた、

涙を流しました。

    

その涙は何の涙でしょうか?

これが極楽です。

涙の中に極楽と言う世界が存在しています。

 

   

極楽と地獄。

この意味を理解した時に無想が訪れます。

  

極楽とは仏の心。

無住心剣(夕雲流)は仏の心を理解することを

第一とします。

f:id:bukokai:20210115224409j:plain

無想剣武術会

 

無想剣武術会が 月刊秘伝に掲載されました。無住心剣/夕雲流

月刊秘伝2021年2月号、1月14日(木)発売中です。
無想剣武術会の特集の1ページ目が
こちらです。

無想剣武術会 月刊秘伝 p82
術や技ではなく“心”で斬る究極の境地とは!?
pp82-87.カラー6ページ
 
無想剣とは、
針ヶ谷夕雲専制、小田切一雲先生らの無住心剣/夕雲流。
山岡鉄太郎(鉄舟)先生の無刀流。
伊東弥五郎(一刀斎)先生の一刀流などの
心の剣術です。
 
その心の剣には、型も構えも無く
素振りのような基礎稽古もありません。
ただ心を磨く事に専念します。
 

f:id:bukokai:20210115225443j:plain

月刊秘伝 2021年2月号 p86より
    
   
稽古動画の一例

www.youtube.com